プログラミングを学び始めたいと考える女性の中には、「エンジニアは男性が多い業界」というイメージから不安を感じる方もいると思います。この記事では、女性が未経験からエンジニアを目指す際に感じやすい不安と、当サイトが掲載している女性向けの選択肢を整理しました(2026年9月確認)。
女性が感じやすい不安とその背景
- 「男性が多い業界」というイメージへの不安。IT・エンジニア職は男性の比率が高いというイメージが根強く、その中に飛び込むこと自体に心理的なハードルを感じる人がいます
- 育児・家庭との両立への不安。特に子育て中の方は、学習時間の確保や、転職後の働き方(残業・在宅勤務の可否など)に不安を感じやすい傾向があります
- 相談しにくい・質問しにくいという不安。クラスメイトや講師が男性中心の環境だと、初歩的な質問がしづらいと感じる人もいます
これらの不安は、実際にスクールを選ぶ段階で解消できる部分と、業界全体の構造的な部分があります。どれも学び始める前に感じて当然のもので、不安があることをエンジニアを目指すのをやめる理由にする必要はありません。この記事では、当サイトが確認できる範囲の情報から、解消できる部分を中心に整理します。
IT業界の女性比率、公的データで見る現状
「男性が多い業界」というイメージは、実際にどの程度データの裏付けがあるのか整理します。集計主体や調査年によって数値に幅がありますが、情報通信業の技術者に占める女性の割合はおおむね18〜23%程度という報道・調査が複数あります。具体的には、総務省データを引用した2025年3月の報道で18.8%(OECD加盟国中17位)、2026年3月の報道で19.5%(同14位)、業界団体である情報サービス産業協会(JISA)の「情報サービス産業基本統計調査」(2023年版)では22.6%(10年で約7ポイント上昇)という数値が出ています。調査主体によって定義や母集団が異なるため、いずれか1つの数字だけを鵜呑みにせず、幅のある数字として捉えてください。少数派であることは数字からも読み取れますが、10年で比率が上がっているという調査もあり、職場で自分ひとりになる場面ばかりを思い描く必要はなさそうです。
一方、プログラミングスクール受講者に絞った統計では傾向が異なります。GMOメディア(コエテコ運営)が2025年2月頃に公表した独自調査では、受講者の男女比は女性49.6%・男性48.7%とほぼ半々という結果が出ています。個別のスクール事例としては、GEEK JOBが「開始当初10%だった女性比率が現在は35%以上」と公表しているケースもあります。ただし、これらはスクール運営会社側の独自調査であり、業界全体を代表する公的統計ではない点には注意してください。
女性限定スクールという選択肢
当サイトが掲載しているスクールの中に、女性限定で運営されているMs.Engineer(ミズエンジニア)があります。運営会社は2021年11月設立のMs.Engineer株式会社で、「IT業界のジェンダーギャップ解消」を掲げて創業された経緯があり、クラスメイトは全員女性という環境です。シリコンバレー式のカリキュラムを持つCode Chrysalisと提携し、6ヶ月〜12ヶ月の3段階のコースがあります。
Ms.Engineerの公式情報によると、受講生の約半数が子育て中の女性(ママ)であるという紹介があります。家庭と両立しながら学べる設計を意識していることがうかがえます。ただし料金は超集中コース(6ヶ月)で一括595,000円(税込654,500円)、スタンダードコース(12ヶ月)で一括780,000円(税込858,000円)に加えて入会金55,000円が必要で、当サイトが集計した転職向けコースの中央値(528,000円)と比べると高めの水準です。女性限定という環境を優先するか、費用を抑えるかは、優先順位を整理してから検討することをおすすめします。
Ms.Engineerを検討する前に知っておきたい経緯
Ms.Engineerについては、2023年11月頃に当時の料金体系や広告表現をめぐってSNS上で疑問の声が広がり、その後に料金体系の見直しが行われたという経緯があります。現在公開されている料金はその見直し後のものです。過去の情報を扱った記事が今も検索結果に残っているため、金額が食い違って見えることがあります。申し込み前には必ず公式サイトの現行料金を確認してください。
もう一点、契約前に理解しておきたいのは返金不可の制度であることです。595,000円〜780,000円という高額な投資でありながら、途中でプログラムを中断しても返金されません。生活状況の変化などで継続が難しくなった場合、負担だけが残ってしまう可能性があるため、契約前に長期的に継続できる見通しを立てておくことが重要です。子育て中の受講生が多い環境は心強い一方、家庭の事情で予定が変わることは誰にでも起こり得ます。途中でやめても費用が戻らないという条件は、学びやすい雰囲気と同じ重さで比べてよい条件です。
女性限定スクールのメリット・デメリット
| 観点 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 学習環境 | 同じ立場の受講生が多く、質問や相談がしやすい雰囲気になりやすい | 一般のスクールと比べて受講者数が少なく、選べるスクールの選択肢が限られる |
| 両立支援 | 子育て中の受講生を想定した設計になっていることが多い | 両立支援の具体的な仕組みは、無料相談で確認する必要がある |
| 料金 | 手厚いサポートが期待できる場合がある | 一般のスクールと比べて高額になる傾向がある |
産休・育休・時短勤務の基本的な制度(エンジニア職に限らない一般的な制度)
学習や転職を検討する際、出産・育児と両立できるかどうかは制度面でも確認しておきたいポイントです。ここで紹介するのはエンジニア職に限った制度ではなく、雇用保険に加入する労働者全般に適用される一般的な制度です。
- 育児休業給付金:休業開始から180日目までは賃金日額の67%相当、181日目以降は50%相当が支給されます(上限額は2025年8月〜2026年7月適用分で67%は月323,811円、50%は月241,650円)
- 出生後休業支援給付金(2025年4月創設):両親ともに14日以上の育休取得等の要件を満たすと、育児休業給付金と合わせて最大28日間は13%が上乗せされ、実質80%相当(社会保険料免除とあわせて手取り10割相当)になります(上乗せ分の上限は月58,640円)
- 育児・介護休業法により、3歳未満の子を養育する労働者は原則1日6時間への短時間勤務を請求でき、事業主は原則拒否できません
これらは会社員として雇用保険に加入していれば、業種を問わず利用できる制度です。転職先を選ぶ際に、この制度の利用実績(取得率、取得後の復職率など)を企業に確認しておくと、実際に両立しやすい職場かどうかの参考になります。
女性のIT人材育成をめぐる国の施策
内閣府(男女共同参画局)は2022年4月26日に「女性デジタル人材育成プラン」を策定し、就労に直結するデジタルスキル習得支援と就労環境整備を推進してきました。2025年6月10日には後継の「新・女性デジタル人材育成プラン」も公表されています。所管は経済産業省や厚生労働省単独ではなく、内閣府が中心となっている点に注意してください。
個別の受講者が直接申請できる「女性限定」の給付金・補助金は、当サイトが確認した範囲では見当たりませんでした。厚生労働省の「人材開発支援助成金」も女性限定ではなく企業向けの一般的な助成金です。前述のMs.Engineerについては、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」に採択されているという発表(Ms.Engineer株式会社、PR TIMES)があり、条件を満たせば受講料の補助を受けられる可能性があります。この事業は性別を問わない一般制度であり、女性限定の枠組みではありません。適用条件は変わる可能性があるため、申し込み前にMs.Engineer公式サイトと経産省リスキリング支援事業の使い方の記事もあわせて確認してください。
一般のスクールを選ぶ場合の考え方
女性限定スクールにこだわらない場合も、無料カウンセリングの段階で次のような点を確認しておくと、入会後の不安を減らせます。
- 受講生の男女比や、在籍している女性講師・メンターの有無
- 育児中の受講生の在籍実績があるか、学習ペースの相談がしやすいか
- チャットやオンラインでの質問手段があるか(対面で質問しにくい場合の代替手段になる)
当サイトが掲載しているスクールの多くは性別を問わず受講できる設計になっており、女性限定スクールでなければ通いにくいというわけではありません。自分が重視する条件(費用、サポート内容、学習形式)を整理したうえで、女性限定かどうかは数ある条件のひとつとして検討することをおすすめします。同じ立場の人が周りにいる安心感を何より大事にしたい人もいれば、費用や学ぶ内容を優先したい人もいて、どちらが正しいということはありません。自分がどちらに近いかを先に言葉にしておくと、比べるときに迷いにくくなります。
不安を解消するためにできること
- 複数のスクールの無料カウンセリングを受けてみる。実際に話を聞くことで、雰囲気やサポート内容の違いが見えてきます
- 受講生・卒業生の声を確認する。公式サイトなどで紹介されている受講生の声の中に、女性受講生の具体的な体験談があるか探してみるのも参考になります
- 転職後の働き方まで含めて情報を集める。スクール選びだけでなく、転職先企業の働き方(時短勤務、在宅勤務の可否など)についても、キャリアアドバイザーに相談してみることをおすすめします
女性がエンジニアを目指すことに関するよくある質問
女性限定のスクールしか選択肢はありませんか
そうではありません。当サイトが掲載しているスクールの多くは性別を問わず受講できます。女性限定のMs.Engineerは選択肢のひとつですが、費用や学習内容も含めて、自分に合うスクールを幅広く比較することをおすすめします。
子育てをしながらでも学習を続けられますか
Ms.Engineerのように、受講生の約半数が子育て中という実績を公表しているスクールもあります。一般のスクールでも、完全オンライン・時間割が柔軟なコースを選べば、両立しやすくなる可能性があります。当サイトの働きながら通えるか、学習時間の作り方もあわせて参考にしてください。
女性限定スクールは料金が高いですか
Ms.Engineerの場合、料金は当サイトが集計した転職向けコースの中央値(528,000円)より高めの水準です。手厚いサポートとのバランスで、自分の予算と照らし合わせて検討してください。
転職後、女性でも働きやすい職場はありますか
企業によって差があります。スクールのキャリアサポートを利用する際に、時短勤務や在宅勤務の可否など、働き方に関する条件も含めて相談することをおすすめします。
男性が多いクラスで質問しづらい場合はどうすればいいですか
チャットでの質問手段があるスクールを選ぶと、対面で聞きにくい内容でも質問しやすくなります。無料カウンセリングの際に、質問手段の種類(対面・チャット・ビデオ通話など)を確認しておくとよいです。
未経験からのエンジニア転職は女性でも成功していますか
当サイトが確認できた範囲では、性別別の転職成功率を公表しているスクールは見当たりませんでした。RUNTEQの就職実態レポートのように、年代別のデータを公表しているスクールはありますが、性別による違いを判断できるデータは限られています。個別のカウンセリングで、実際の受講生の状況を確認することをおすすめします。
産休・育休中でもスクールを受講できますか
制度上、育児休業中に学習すること自体を禁じるものではありませんが、育児休業給付金は「就労していないこと」が前提の給付金のため、受講内容が就労とみなされる行為(有償の実務等)に該当しないか注意が必要です。詳しい条件はハローワークに確認することをおすすめします。
経産省のリスキリング支援事業の補助は女性なら誰でも使えますか
性別を条件にした制度ではありません。在職中であれば年齢・性別を問わず対象になり得ますが、対象講座・対象者の要件は事業ごとに定められています。Ms.Engineerのように採択されている講座であっても、詳細な適用条件は公式サイトで確認してください。
女性のIT人材育成を目的とした国の施策はありますか
内閣府(男女共同参画局)が2022年4月と2025年6月に「女性デジタル人材育成プラン」を策定・改定しています。ただし個別の受講者が直接申請できる女性限定の給付金・補助金が別途あるわけではなく、既存のリスキリング支援事業等の枠組みで女性の参加を後押しする位置づけです。
まとめ
女性が未経験からエンジニアを目指す際に感じやすい不安には、業界のイメージによるものと、育児・家庭との両立によるものがあります。Ms.Engineerのような女性限定スクールは、同じ立場の受講生が多い環境を求める場合の選択肢になりますが、費用面では一般のスクールより高めです。女性限定にこだわらず、性別を問わないスクールの中から、サポート内容や学習形式を含めて比較検討することも現実的な選択肢です。
参考:Ms.Engineer公式サイトの情報、各スクール公式サイトの情報(2026年9月確認)。
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