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未経験エンジニア転職にITパスポート・基本情報技術者は必要か【2026年】IPA公表データで整理

未経験からエンジニアを目指すとき、「ITパスポートや基本情報技術者試験を先に取ったほうがいいのか」「スクールに通うなら資格は要らないのか」という迷いは、料金や転職保証と並んでよく出てくるものです。この記事では、試験を実施するIPA(情報処理推進機構)が公表している統計と試験概要をもとに、2つの試験が何を測るものか、どんな人が受けているのか、スクール選びとどう組み合わせて考えればよいかを整理しました(2026年9月確認)。

この記事の結論

  • ITパスポートは「職業人が備えておくべきITの共通基礎知識」、基本情報技術者試験は「ITを活用したサービスやシステム、ソフトウェアを作る人材に必要な基礎知識・技能」を対象にする試験で、役割が違う(IPA試験区分ページの記載)
  • ITパスポートの令和7年度の社会人応募者は、非IT系企業が179,995人でIT系企業の40,715人を大きく上回る。エンジニア志望者専用の資格というより、幅広い職種の共通の入り口になっている
  • 基本情報技術者試験の合格率は令和5年度の47.1%から令和7年度の38.3%へ下がっている。受験者は増えており、「簡単に取れる資格」と決めつけないほうがよい
  • 「未経験採用で資格が必須」と示す公的な統計は確認できなかった。応募資格は求人ごとに違うため、志望先の求人票で確かめるのが確実
  • 資格は「スクールの代わり」でも「スクールの成果物の代わり」でもない。基礎知識の物差しとして併用し、転職では制作物と併せて見せる考え方が無理がない

この記事の情報の選び方

資格の話は「取れば転職に有利」「意味がない」と極端な意見が並びやすい分野です。そこで本記事は、次の一次情報に載っている数字と記述だけを軸にしました。

  • IPA「基本情報技術者試験」「ITパスポート試験」の試験区分ページ(2026年9月確認)
  • IPA「統計情報(基本情報技術者試験)」の推移表(令和8年7月時点)
  • IPA「令和7年度『iパス(ITパスポート試験)』の年間応募者数等について」(2026年4月21日公開、同月28日更新)
  • IPA「CBT方式で実施するITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験及び基本情報技術者試験における2026年5月以降の試験実施について」
  • 公式サイトや紹介記事などで当サイトが確認した、スクールごとの資格対策の公開情報

採用側が資格をどう評価しているかについては、公的な統計を確認できなかったため、推測では書いていません。

ITパスポートと基本情報技術者試験は何が違うのか

どちらも国家試験の情報処理技術者試験の一区分で、年間を通じてCBT方式(会場のパソコンで受験する方式)で随時実施されています。受験手数料は7,500円(税込)です。IPAが示している対象者像と試験形式を並べると、次のようになります。

項目 ITパスポート試験 基本情報技術者試験
対象者像(IPAの記載) 職業人およびこれから職業人となる者が備えておくべきITの共通的な基礎知識をもち、ITに携わる業務に就くか、担当業務にITを活用していこうとする者 ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者
試験の構成 120分・100問(四肢択一) 科目A 90分・60問、科目B 100分・20問(いずれも多肢選択式)
実施方式 CBT方式により随時実施 CBT方式により随時実施
受験手数料 7,500円(税込) 7,500円(税込)
位置づけ 情報処理技術者試験の基礎的な区分 IPAは「ITエンジニアの登竜門」と位置づけ

ITパスポートは、営業や総務など、ITを使う側の人も含めた共通知識を問う試験です。基本情報技術者試験は、科目Bでアルゴリズムや情報セキュリティなどを問うため、システムを作る側に近い内容になります。なお、基本情報技術者試験の科目Bは擬似言語による出題が中心で、特定のプログラミング言語を学べば直接解けるという性質のものではありません(Javaとの関係は Javaを学べるプログラミングスクール比較 でも触れています)。

どんな人が受けているのか:公表データから

ITパスポート:非IT系の社会人が中心

IPAの発表によると、令和7年度のITパスポートの年間応募者数は307,266人、受験者数は271,352人、合格者数は132,012人で、合格率は48.6%でした。社会人応募者を勤務先別にみると、非IT系企業が179,995人、IT系企業が40,715人です(無職・その他無記入は除く)。業務別でも、最も多いのは「営業・販売(非IT関連)」の45,781人でした。

この数字から言えるのは、ITパスポートが「IT職に就くための専用資格」というより、金融・製造・建設・医療など幅広い業種の社会人がITの基礎を身につける目的で受けている試験だということです。未経験でIT職を目指す人にとっては、基礎用語をひとまず体系的に学ぶ入り口として使いやすい一方、この資格だけでエンジニアとしての実務力を示せるわけではありません。応募先から見れば、ITパスポートは多くの社会人と同じ土台に立ったという印に近いものです。エンジニア志望としての違いを伝える材料は、別に用意しておくほうが話が早いと考えます。

基本情報技術者試験:受験者は増え、合格率は下がっている

基本情報技術者試験の推移は、IPAの統計表で次のとおり確認できます。

年度 応募者数 受験者数 合格者数 合格率
令和5年度 140,774人 121,611人 57,278人 47.1%
令和6年度 157,259人 133,732人 54,501人 40.8%
令和7年度 172,217人 147,186人 56,370人 38.3%
令和8年度(4〜7月) 52,349人 44,025人 16,955人 38.5%

合格者数はほぼ横ばいなのに、受験者が増えているため、合格率が下がっています。統計から原因までは読み取れませんが、少なくとも受験者が増えても合格しやすくなっているわけではありません。38.3%という合格率を見ると、スクールの課題の合間に片手間で受けるより、試験のための時間を別枠で確保するつもりで計画したほうが落ち着いて臨めそうです。

勤務経験が浅い層の合格率は

同じ統計に、勤務経験年数別の数字もあります。令和8年度の4〜7月の集計は次のとおりです。

勤務経験年数(IPAの区分) 受験者数 合格率
経験なし 396人 43.9%
1年未満 3,342人 51.8%
1年以上2年未満 1,482人 38.1%
2年以上4年未満 1,787人 38.4%
4年以上6年未満 1,342人 37.8%

経験の浅い層の合格率が、経験年数の長い層より低いわけではありません。ただし集計期間が4か月で「経験なし」は396人と少なく、経験年数の区分の定義も統計表だけでは詳しくわからないため、傾向を示す参考値にとどめてください。それでも、実務経験がないことを理由に受験をためらう必要は薄いと思わせてくれる数字です。

受験を考えるなら、日程の確認が必要です。IPAは、CBT方式のITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者試験について、2026年12月28日以降を休止すると案内しています。当初予定していたシステム更新を延期したため休止時期が2027年1月以降にずれた形で、2027年1月以降の実施については2026年秋頃にウェブページで知らせるとされています。最新の予定はIPAの試験情報ページで確認してください。

資格とスクールをどう組み合わせて考えるか

資格が担えること、担えないこと

資格の役割を整理すると、次のようになります。

目的 資格が向いているか 理由
ITの基礎用語・仕組みを体系的に学ぶ 向いている 出題範囲が決まっており、独学の目標にしやすい
学習の継続を促す期限や目標を作る 向いている 試験日という区切りができる。CBTなので日程は自分で選べる
履歴書に客観的な学習の記録を書く 一定の役に立つ 国家試験の合格として説明しやすい。評価のされ方は企業ごとに違う
実際にアプリやサイトを作れることを示す 向いていない 試験は知識を問うもので、制作物の代わりにならない(ポートフォリオは何を作ればいいか を参照)
転職を確実にする 向いていない 資格の有無と採用結果の関係を示す公的な統計は確認できなかった

「資格を取れば未経験でも採用される」「資格は不要」のどちらも、公的な統計では裏付けを確認できませんでした。応募先の求人票で、応募資格が「必須」なのか「歓迎」なのか、そもそも記載がないのかを確かめてから判断するのが確実です。

資格対策とセットになっているスクールの例

スクールによっては、カリキュラムに資格対策が入っています。公式サイトや紹介記事などの公開情報で当サイトが確認できた例は次のとおりです。

スクール 資格まわりの公開情報 詳しい記事
Winスクール 基本情報技術者試験対応のコースがあり、資格の合格を明確な目標に置いた設計。個人向けの一般教育訓練給付の対象講座もある Winスクールの評判
ゼロスク IT資格の取得サポート(勉強会の開催と試験費用の補助)が組み込まれている ゼロスクの評判
Freeks ITパスポート試験対策がカリキュラムに含まれる プログラミングスクール比較(Freeksを含む)
コードリスタ Java言語マスターコースにOracle認定Javaプログラマ Silver SE11の試験対策が組み込まれている プログラミングスクール比較(コードリスタを含む)

資格対策を売りにしているスクールは、逆に言えば制作物づくりや転職支援がどこまで含まれるかを別に確認する必要があります。Winスクールの記事にも書いたとおり、資格の取得をゴールにすると、実務での使い方が見えないまま試験勉強で終わることがあります。合格は目に見える成果なので達成感がありますが、それで学習が一区切りついたように感じると、肝心の作る練習が後回しになりがちです。資格は通過点として置いておくほうが、スクールで過ごす時間を生かしやすいと感じます。

費用の面から見る

資格の受験手数料は7,500円(税込)で、独学ならスクールの受講料(当サイトの集計で中央値528,000円)に比べてごく小さい金額です。一方、資格取得講座を含むスクールの講座は、一定の条件を満たすと教育訓練給付制度などの対象になることがあります。制度の条件は 給付金が使えるプログラミングスクール一覧 や 経産省リスキリング支援事業の使い方 で整理しています。資格取得を軸にした講座が経済産業省の対象講座一覧に載っている例もありますが、講座ごとに条件が違うため、申し込む前に公式の対象講座リストとハローワークで確認してください。

迷ったときの判断の目安

  1. 目指す職種を先に決める。Webアプリ開発なら制作物、社内SEやインフラなら資格の比重が上がることがあるが、求人票で確認する
  2. まず学習の目的を確認する。基礎用語をひと通り学びたいならITパスポート、システム開発の土台まで学びたいなら基本情報技術者試験が候補になる
  3. スクールを選ぶ基準は資格の有無だけにしない。制作物、質問対応、転職支援の範囲もあわせて比べる(転職保証があるスクール比較)
  4. 試験日程を先に確認する。2026年12月28日以降は休止と案内されているため、年内の受験を考えるなら早めに予約する

資格に関するよくある質問

ITパスポートは未経験でIT転職するなら取ったほうがいいですか

取らないと応募できない、または取れば有利になると示す公的な統計は確認できませんでした。IPAの説明では、職業人が備えておくべきITの共通基礎知識を問う試験です。基礎知識を体系的に学ぶ目的なら役立ちますが、応募先が資格を求めているかは求人票で確認してください。

基本情報技術者試験は独学で受かりますか

受験者の勤務経験や学習方法までは統計に出ていません。合格率は令和7年度で38.3%と、受験者の6割以上が不合格になっています。試験範囲が広く、科目Bのアルゴリズム問題は慣れが要るため、学習時間の見込みを立ててから申し込むのがよいでしょう。

プログラミングスクールに通えば基本情報技術者試験に受かりますか

受かるとは限りません。科目Bは擬似言語で出題されるため、特定言語のスクールの学習がそのまま試験対策になるわけではありません。資格対策コースを持つスクールを選ぶか、試験対策を別に用意する必要があります。

資格の勉強とスクールの学習は同時にできますか

学習時間が確保できるなら可能ですが、負担は大きくなります。働きながら通えるか、学習時間の作り方 のように、1週間に使える時間から逆算して、優先順位をつけたほうが挫折しにくくなります。

試験に落ちたらどうなりますか

IPAの試験は、再度申し込んで受け直すことになり、その都度受験手数料がかかります。日程や再受験の条件はIPAの受験案内で確認してください。

30代・40代でも資格は意味がありますか

年代別の効果を示す公的な統計は確認できていません。年齢が上がるほど、資格より実務経験や制作物を重視する求人が増える傾向が語られることもありますが、根拠のある数字は示せません。年代ごとの転職の見通しは 30代・40代未経験からエンジニア転職は可能か をご覧ください。

資格対策つきのスクールは割高になりますか

一概には言えません。Winスクールのように単科講座から選べるスクールもあれば、ゼロスクのように受講料が無料で試験費用の補助が付くとされているスクールもあります。料金体系は各校の公式サイトで確認してください。

まとめ

ITパスポートは非IT系の社会人が中心の共通基礎知識の試験、基本情報技術者試験はシステムを作る側の基礎を問う試験で、後者は受験者が増える中で合格率が令和5年度の47.1%から令和7年度の38.3%へ下がっています。資格が転職に有利かどうかを示す公的な統計は確認できなかったため、応募先の求人票で応募資格を確かめ、資格は基礎知識の物差しとして、スクールの制作物や転職支援と併せて考えるのが現実的です。試験は2026年12月28日以降の休止が案内されているので、受験を考えるなら日程を早めに確認してください。

参考:IPA「基本情報技術者試験」(ipa.go.jp/shiken/kubun/fe.html、2026年9月確認)、同「ITパスポート試験」(ipa.go.jp/shiken/kubun/ip.html、2026年9月確認)、同「統計情報(基本情報技術者試験)」(ipa.go.jp/shiken/reports/toukei_fe.html、令和8年7月時点)、同「令和7年度『iパス(ITパスポート試験)』の年間応募者数等について」(ipa.go.jp/shiken/reports/ip-oubo2025.html、2026年4月21日公開)、同「ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験及び基本情報技術者試験における2026年5月以降の試験実施について」(ipa.go.jp/shiken/2026/cbt-202605-jisshi.html、2026年9月確認)、同「スケジュール、手数料など」(ipa.go.jp/shiken/mousikomi/schedule.html、2026年9月確認)。受験手数料や日程は変更される場合があるため、必ずIPAの最新の案内で確認してください。

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